「財界」2015.1.6号
「和」とは個では得られない他との
めぐり合いで深い味を引き出すこと
システムセンター社長
髙松 修身
Takamatsu Osami
いかに会社組織を盤石にするか。
社会のいかなる変動にもすばやく柔軟に対応できる組織があればこそ、
他社とは違った卓越性、特徴を強い武器にできるのである。
そのために、能力があるのなら時には癖のある人材を組織の中で活かすことも、
経営トップが取るべき方策である。
古来からの木造建築に仮託してこういう金言がある。
《塔組みは木組み/木組みは、木のくせ組み/木のくせ組みは、人組み/人組みは、
人の心組み/人の心組みは、棟梁の工人への思いやり/工人の非を責めず、己れの不徳を思え》
「塔組み」を「会社組織」におきかえれば、木造建築の一本一本の木材の組み合わせが
組織の一人ひとりの組み合わせと同じであるのが分かる。
「良材とくせ木を選り分けて用いるのでなく、真っすぐな人間と癖のある人間とを
うまく競わせ組み合わせていく。それによって組織に厚みが出るのです。
言いかえれば人の〝和〞の力です」(髙松氏)
蕎麦を食べるときに添えるわさび。そのわさびに砂糖を合わせると、
わさびの辛みがさらに効いて美味しくなる。
髙松氏の言葉を熟慮玩味すれば〝「和」とは個では得られない他とのめぐり合いで、
より深い味わいを引き出すこと〞を示唆していることがわかる。単に馴れあうのではなく、
個と個の強烈な競い合いが前提にあるのである。