「財界」2013.4.23号

及ばざるは過ぎたるにまされり

愚直とも見える正攻法で一歩ずつ前進

システムセンター社長
髙松 修身

Takamatsu  Osami

企業トップの経営判断が厳しく問われる時代である。

そんな中、「マネジメントというものは、

個々の人の幸せをテーマにしていなければならない」とは、

システムセンターの髙松氏。

「人の一生は、重荷を負ひて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。

不自由を常に思えば不足なし、心に望み起こらば困窮したる時を思ひ出すべし。

堪忍は無事長久の基、怒りを敵と思へ。

勝つことばかり知りて負くる事を知らざれば害その身に至る。

おのれを責めて人を責めるな、及ばざるは過ぎたるにまされり」

とは徳川家康の遺訓で、彼の人生観や人間像を読み取ることができる。

「及ばざるは過ぎたるにまされり」

というのは、幸せは分にありということであり、満足を知れということである。

マネジメントの要諦も結局はそこにいたるのである。

人の幸せをベースに各人に「自分の分を知れ」「自分の使命をはたせ」

「愚直に少しずつでも前へ進め」と叱咤するのだ。

決して、社員を一律に管理し、無理矢理にでも成果を出させようとするものではない。

このことを髙松氏は、自分にも言いきかせ

“一日一日を社員と共に生きている”経営者である。

「財界」2013.4.9号

人を使うのではない
人を作っていくのが真の経営道

システムセンター社長
髙松 修身

Takamatsu  Osami

今の時代。

ITが社会に根深く浸透し、それは便利で合理的。

しかも瞬時に大量の情報が処理される。

しかし効率第一ですまないのが人間。

何かが失われていると痛感することが多い。

バーチャルな時代だからこそ、人と人とのつながりが貴重になる。

もう一度、人としての心の本質を見つめることが、

現代には大切になっているのではないか。

「本物技術」の追求をテーマに、スキルアップした一人ひとりの人間力と

一糸乱れぬ盤石な組織力を誇るシステムセンターは、

名古屋のど真ん中に本社の陣を布く。

その陣頭に立つ髙松氏は、礼儀と率直さを基調とした真剣勝負の毎日だ。

なぜなら、トップの求心力こそがまさに、ものを言う時代であるからだ。

ではいったい、社員の心をトップに集中させるため、

核となる経営者は日々、何を実践するべきか。

「それは人の価値作り、その人の持っている真の価値作りに経営資源を注ぎ、

一人ひとりを良き方向へ脱皮させ、心を感じることのできるリーダーを育てること。

人生の目標と夢を持てる人の集まりとすること」(髙松氏)。

言い換えれば、社員一人ひとりが持っているはずの率直な心と能力を

開発していくこと ―― これこそが、経営者の仕事であるという。

「経営は人を使うことでなく、人を作っていくこと」という発想が根底にあるのだ。

経営の中に道を作り、経営道を完成させること。同社のチャレンジは今日も続く。