「財界」2013.6.25号

― 笑われるな 笑わせろ―

〝渾身〟という言葉の意味を知った

システムセンター社長
髙松 修身

Takamatsu  Osami

世界の産業界は、若返りと国際化がさらに進んでいる。

社会が成熟すればするほど、変化の幅が激しければ激しいほど、

基軸がガンと定まった組織、芯のぶれないトップの理念が企業の生き残りの決め手となる。

システムセンター髙松氏のその芯は、

鳳啓助氏の内弟子になった時から形成される。

時に21歳、8年間いた厳しい漫才界では

「人に笑われるような人間にだけはなるな、人を笑わせる男になれ」

「何ごとにも〝渾身でうちこめ」と教えられた。

それがどんなことでも渾身を込めれば、

人の心を打ち動かすものになると実感したのだ。

まさにそういう姿は美しいとさえ感じるものである。

挙措進退にまで気配りの日々である芸能界において、身と心にしみついた

〝渾身の意味。

渾身とは、からだ全体、全身、満身をもって事に当たるということ。

そこに雑念はなく、保身もない。

ひたすらにぶつかっていく。

傍から見れば、こんなおそろしい奴はいない。

こうして、仕事においても人のつき合いにしてもビジネスにおいても、

その芯がぶれない基礎が創られた。

社員の仕事への取り組み姿勢や気構えにも、

とても厳しく教育に注力する。

その結果、磐石な組織、変化に即対応できる芯のしっかりした組織ができ上がった。

同氏はさらっと言う「私は冗談一つを発するにしても命かけてますからね」と。

「財界」2013.6.11号

組織の根幹をなすのは

一人ひとりの力

システムセンター社長
髙松 修身

Takamatsu  Osami

「生きものの細胞組織も会社の組織も同じで、

悪いウィルスにでも良いウィルスにでもどちらにも周りが感染する。

がんばる人がいれば周りも感化され影響される」

人、一人ひとりの存在と影響(感染)をとても重要視するのがシステムセンターの髙松氏だ。

その洞察力、先読みの鋭さは共に苦労する社員にも向けられる。

「北京で一羽の蝶々が羽ばたくと、ニューヨークでハリケーンが生じる」とは

複雑系の理論、カオス理論でよく語られるたとえ話だが、

蝶々の羽ばたきというごくわずかな気流の乱れが巨大な嵐を引き起こす。

すなわちミクロの“ゆらぎ”が予想をはるかに超えたマクロの変化をもたらす。

組織の中の一細胞でもゆるがせにはできない理由だ。

一人ひとりの強い結束と前向きなスタンスはもちろんのこと、

人の良さを引き出し自信を持たせるには

“心のヒダ”まで入り込まねばダメだと同氏は力説する。

それは一人の影響力をとても重視するからこそである。

大きな転換期にある日本。

これを乗り切るためには、発想の転換とそれを行動に移して

成果を上げさせていくためのマネジメントが必要である。

いかに時代が千変万化しようとその根幹になくてはならないもの、

それはなんといっても一人ひとりの力である。